2006年08月24日

眠れぬ夜の対処法

 寝付けません。

 旅行から帰ってきて間もないせいでしょうか、妙に気分が昂ぶっています。
 眠れない上になんだかひと恋しい気分です。
 他者の言葉を求めてネットをうろうろしてみますが、それで寂しい気持ちが埋まるものでもありません。
 たくさんの言葉がありますが、それは私に向けられたものではないのです。
 メールボックスを開いてみても、こんな日に限ってスパムメールしか来ておらず、なにやら空しさが募ります。

 話し相手が欲しいのですが、こんな時間にそんな理由でひとに電話をかけるのはいかにも非常識。
 ただでさえ少ない友人を更に減らすような行為は避けたいところです。

 こういうときに文章を読む、あるいは書くというのは有効な手段のように思えるのですが、早めに眠らないと明日の予定に差し障ります。
 それに、手元の本は既に殆ど読みきってしまいました。

 猫を触るのも和む手段としては有効ですが、本日猫は既にお休み中です。
 下手に弄って興奮させて、全力で駆け回る猫と遊び尽くして夜を明かしてしまうのも困ります。
 それに、起こすのはかわいそう。

 ここは入眠剤代わりにお酒でも飲みましょう、と思い立ちました。
 幸い、以前買っておいた梅酒がまだ残っています。
 壜を取ってきました。

 気分を落ち着けるために灯りを控え目にし、グラスに壜の中身をたっぷり注ぎます。

 口に含んだとたん、吹き出しそうになりました。
 予想だにしていなかった香りと味、喉を焼くような感覚。
 あれ?
 これは梅酒ではなく……ブランデー?

 どうやら留守中に父が壜の中身をすりかえる悪戯をしたようです。
 子離れのできていない父のこと、私が家を離れたのが寂しかったのでしょう。
 普段なら色や香りで気付くのですが、今日は完全に油断しきっており、まんまと引っかかってしまいました。ううん、一本取られてしまいました。

 しかしこれをどうしましょう。

 グラスにたっぷり注いだブランデー。
 一度口をつけてしまった以上、壜に戻すのも憚られます。
 ちょっと多い量ですが、やむを得まいと一気に呷りました。

 結果、酩酊しました。
 今はあまり寂しくありません。なんだかふわふわと幸せな気持ちです。
 くらくらしてきました。そろそろ床に就きたいと思います。きっとぐっすり眠れるでしょう。

 アルコールは時として孤独に有効であることが判明しました。

 とはいえあまり頻繁に使うべき手段ではないようにも思います。
 孤独感を麻痺させるためにお酒を使っても、心の弱さはなんら解決しません。
 酔わずに生きていくことができる方は、そうされるのが賢明でしょう。

 私はあまり強くないので、ときどきは酩酊しながら生き延びていこうと思っています。
posted by にくす at 01:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月29日

芸術家の誕生

 妹の自慢をします。

 先日自宅に帰りますと、居間にある机の上になにやらイラストが置いてありました。
 妹が描いたもののようです。

art01.jpg

 ジブリ作品の練習でしょうか。
 しかしながら、溢れんばかりの個性ゆえに全てが似て非なるものに仕上がっています。
 なんて素晴らしい。

 これなどには、狂気にも似た才能を感じずにはいられません。

art02.jpg

 見た瞬間恐怖さえ覚えました。

 このような芸術作品を秘匿するのは犯罪的行為だと思われますので、一部を全世界に公開することにしました。
 まったくこの妹は天才なのではないかと思うのですが、それはやはり姉ゆえの贔屓目でしょうか。

 いずれにせよ私は、妹の絵が好きです。
posted by にくす at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月20日

サッカーの観戦

 一昨日は妹と一緒に、テレビでワールドカップを見ました。

 私はサッカーにあまり詳しくありません。
 妹は贔屓の選手を応援しています。どうやら私よりはサッカーに詳しい様子。
 誰がどういう選手なのか、解説してもらおうと思いました。

 ひときわ頑張っているように見えた選手を指差して聞いてみます。
「この中田英寿という選手は、巧く動いているように見えるね」
 熱中している妹から、叫ぶように返事が。
「うん、ヤバイ!中田はほんとヤバイ!」

 一見意味不明の返事ですが、これはきっと若者特有の言葉回し。
 この場合妹は「ヤバイ」を「危険」という意味ではなく、「凄い」を表す単語として用いているのでしょう。
 してみるとこの返事は「中田という選手はほんとうにサッカーが上手である」というほどの意味であろうと解釈し、解読ができたことに満足しつつ相槌。

「そう、やばいの」
「うん、でも川口はもっとヤバイ!あと宮本超ヤバイ、鬼ヤバイ!」
「……ええと」

 確かにそのふたりも素晴らしい選手には違いありませんが、どうも試合での活躍度と関係なしに挙がっている名前のような気がします。
 どうやら妹の「ヤバイ」には「サッカーの技量が巧い」という意味のほかに「格好が良い」とか「自分はこの選手が好きである」とか、そういった意味合いも含まれているようです。

 ということは、どういうことなのでしょう。
 妹はどの選手が一番巧い選手だと思っていて、どの選手のことを一番気に入っているのでしょう。

「ともかく、みんなやばいのね」
「そう。……あー!クロアチアにボール取られた!ヤバイヤバイ!」
「今のは危機的状況だという意味よね」

 様々な意味合いを「ヤバイ」という単語一言に集約して表現されてしまうために、解読は難解極まりないものとなりました。
 よもや家庭内でこのような言語の障壁に遭おうとは。

 ヤバイは難しいです。
posted by にくす at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月06日

父なりの気遣い

 衣装棚があふれているので、そろそろ整理をしなければいけないなあと思っていたところ。
 休日を利用して、父が棚を増設してくれました。
 元々あった棚の上に白木で棚を組み、上方向に収納領域を増やした形に。
 さすがは私の肉親です。

「うわあ、凄い。ありがとうございます」
 言いながら棚に触れてみると、少し軋むような手応え。
 よくよく見ればこの棚、かなり華奢なつくりになっているようです。
「そう丈夫なものではないから、気をつけて使うんだよ」
「はい」

 答えたものの、疑問は残ります。
 器用な父にとって、もう少し丈夫な棚を作成することは決して難しい作業ではないはずなのです。
 なのにわざわざ触れれば軋むほどの脆い棚を制作するなんて、どうにもらしくありません。
 重量に耐えそうもないこの強度では、おちおち衣服を増やすことも

 なるほど。
 つまり、これ以上衣服を増やすなという意思表示なのですね。
 棚を壊さずに済むよう、整理整頓を心がけなさいということなのですね。
 このまわりくどい躾、適切すぎる環境整備、そこはかとない性格の悪さ。
 さすがは私の肉親です。

「……色々お気遣いいただきまして、ほんとうにありがとうございます」
「いえいえ」

 そんなわけで目下、おとなしく買い物を控えるかそれとも自力で棚の強化をするか、悩み中です。
posted by にくす at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

妹の猜疑心

 携帯を紛失したので、警察や鉄道会社に遺失届けを出しました。

 妹は、そんな私の対応がお気に召さぬ様子。
「そんなの出しても無駄だって」
「そうかなあ。どなたかが拾ってくださるかもしれないでしょう」
「誰かに拾われたら絶対戻ってこないよ」
「え、だって拾ったものは普通、警察に届けるでしょう?」

 そういうと、呆れたような顔をされました。
「これだから世間知らずは。今時わざわざ落し物を警察に届けるような善良な市民なんていないよ。外でなくした携帯なんて、多分とっくにヤンキー(妹はこの単語を米国人に限らず、不良の方全般を指す用語として用いたようです)に壊されちゃってるんだから、早く新しいの買った方がいいって」
「……ヤンキーの人というのは、携帯電話を見つけると壊すものなの?」
「そうだよ」

 言って妹はおもむろに、身振り手振りを含めつつ説明を始めました。
「まず拾うと、『なんだこれ、うっわケータイじゃん、やばくね?』的なことを言ってはしゃぐの。うん、最低でも5回は『やばい』って言うわね」
「別に携帯電話は危ないものではないと思うけれど」
「ヤンキーの言語というのはそういうものなの。で、一通り騒いだらその電話であちこちに電話をかけまくろうとするわね」
「そんなに急に電話をかける用事があるかなあ」
「用事があってもなくてもかけるの。ヤンキーっていうのはそういう生き物なの。でも、なかなかかけられないのよ」
「どうして」
「かけようとしたら電話番号がいるでしょう?」
「うん」
「でも、平均的なヤンキーはだいたいが数字を3つ以上覚えられないようにできているから、電話番号なんて覚えていないの。だから自分の携帯を取り出して、電話帳を検索して、電話番号を見つけて、ふと『ボタンを押して掛けるのはめんどいな、これなら自分の携帯を使った方が早くね?』って思って自分の携帯で意味なく電話して、そんな意味のない電話を掛けさせられた腹立ちのあまりに拾った携帯をばきって壊すの」
「そういうものなの?」
「そういうものなの」
「でも、そんなに悪い人が拾うとは限らないし」
「甘い甘い甘い。全く、これだから箱入り引きこもりは。いい、推定によると人口のおよそ9割は『落ちているものはとりあえず壊すひと』と『落ちているものはとりあえず食べるひと』と『落ちているものは拾わないひと』で占められているのよ?」
「そういうものなの?」
「そういうものなの。そんな厳しい競争世界においては、落し物が無事返ってくる確率なんて限りなく低いと言わざるをえないんだからもっと危機感を持ちなさい」
「うーん、いくらなんでもこの国の治安はそこまで悪くないと思うよ」
「だからそれはお姉ちゃんが世間の厳しさを知らないだけだって」
「何を言うの!私だってそれなりに世間の酸いも甘いも噛み分けてきているわよ!伊達にあの世は見てないよ!」
「だからまずこの世を見ようよ」

 そんな感じで、妹に危機感の欠如を叱られたり妹の無闇な猜疑心の強さを心配したりしながら熱い討論を繰り広げていたら、警察からお葉書が届きました。
 読んでみれば私の携帯電話が届いているから、指定の警察署まで取りにいらっしゃいとのこと。
 どこかの親切な方が、わざわざ届けてくださったのです。

 妹にお葉書を見せて報せました。
「ほら、世の中にはちゃんと親切な方もいるのよ」
「むー」
「まあ、『見つかった』というだけで、どういう状態なのかとかは書いていないから、もしかしたらぼろぼろの状態かもしれないけれど……なんにせよ電話帳のデータさえ戻ってくれば」
「!そう!そうだよ!無事に戻ってくるとは限らないもの!絶対ぜったい、悪い誰かが壊したあとの、べきぱきなプラスチックの塊といった感じのものが返って来るに決まっているわ!」
「……何があなたをそんなにひねくれさせてしまったのかしらね」

 そんなわけで。
 妹にひとの情けの暖かさを教えるためにもここは無事な姿で戻ってきて欲しいと心から願いつつ、落し物を引き取りに行った次第なのです。

 後日談。
 幸い携帯電話は全くの無傷で返ってきました。拾ってくださった方の善意に感謝するばかりです。
 是非ともお礼を言いたかったのですが、ご本人の希望で連絡先等を伺っておらず、菓子折りなどを持参する事も叶いませんでした。なんと奥床しい方なのでしょう。

 きっとその方はここを読んでいないだろうと思うのですが、それでも。
 見も知らぬ若い男性、その節は本当にありがとうございました。
posted by にくす at 17:26| Comment(4) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月16日

携帯電話の紛失

 携帯電話を紛失しました。

 どこかに入り込んでしまっているのではないかと考え、試しに電話をかけてみたのですが、どこからも呼び出し音が聞こえてきません。電源が切れているのか壊れてしまったのか、即座に留守番電話センターに繋がってしまう状態です。
 はて。

 とりあえずお部屋の掃除をしてみました。
 数日をかけて掃除完了。整頓の終わった部屋を隅々まで眺め、どうやらこの部屋に携帯電話は存在しないということを確認。
 最後に電話を使った日以降、仕事用の鞄に携帯電話を移してはいないので、職場に忘れたという可能性もありません。
 となると一体どこに。

 ごそごそしていると、妹にいぶかしまれました。
「どうしたの」
「携帯電話をなくしてしまったみたいで」
「え、どこで!」
「それがわからないの」
「いつ?」
「それもわからないの」
「わからない!?」
「先週末に一度使ったから、なくしたとしたらそれ以降なの。あの日はお出かけしたから、そのときどこかに置き忘れたのかも」
「なんでそんなに長い間、なくしたことに気付かないの!?」

 そういえば、妹は毎晩携帯電話を抱いて眠るほど電話を可愛がっていました。
 携帯電話に対してそれほどの愛着を持っている人間にとってしてみれば、愛しい端末の不在に気付かないなどというのは想像できない事態なのでしょう。

「私、あなたほど携帯電話を可愛がっていなかったから」
「は?」
「もちろん長い付き合いだし、私なりに愛着はあるのよ?でもその愛情を表現する形が」
「いや可愛がるとかじゃなくて!何の話よ!」
「いつも携帯電話を抱いて寝ているから、よほど電話が好きなんだと思っていたのだけれど」
「あれはメールが入ったとき、気付かないと相手に悪いから持ってるだけで……っていうか普通は、ちょこちょこメールの確認とかで電話を見るでしょう!なんでそんなに放置状態なのよ!」
「だって私の携帯、滅多に鳴らないから」
「え」
「……おともだち、少ないから」
「………」

 若干の沈黙。

「……おともだちが少ないから携帯を使わないのか、あまり携帯を使わない、つまりまめに連絡をしない性格だからおともだちが少ないのか、どちらなのかしらね?」
「……まあ、それはともかく。使用停止の手続きとかはとったの?」
「ううん、何も」
「まずそれをやらなきゃ!」

 妹の勧めに従い、電話会社に連絡して端末の使用を中断していただきました。
「どこかから見つかるといいんだけれど」
「いやー、家の中にないなら無理だと思うよ。忘れた場所の心当たりとか、ないの?」
「最後におでかけした日かなあ」
「どうしてなくしたりしたの」
「ええと」

 確かあの日は友人とお酒を呑んで。
 酒精でくらくらしながらお話をするうち妙な盛り上がり方をして、なぜか徒競走大会(於:深夜の繁華街)が開催されてしまって。
 ついうっかり参加して、結果前後不覚に近い状態になり、その後どうやって家まで辿り付いたものかよく覚えていないのできっとその間に何かがあったのでしょう。

「……どうしてかしらね。さっぱり見当もつかないわ」
「なぜ目を逸らすの」

 大人には、心に秘めて話したくないこともあるのです。
posted by にくす at 17:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月30日

深夜の逸楽

 昨夜、部屋で「ピタゴラスイッチ デラックス」を見ました。

 深夜に子ども番組を見るというのは、中々刺激的な体験です。
 子ども番組特有の、耳に残る音楽の数々。様式美さえ見出せる、パターン化した展開。
 深夜の気だるい気分も相俟って、見ながらついつい音楽や台詞を口ずさんでしまいます。

「こどもだから、よめませーん」
 などとテレビに合わせて呟いていると、ノックの音が。
「はい、どうぞ」
「借りた本を返しに来たんだけど」

 妹でした。

「ああ、じゃあそこに置いておいて」
「うん。……あの、何見てるの?」
「ん?ピタゴラスイッチ」
「ぴたごら……」
「『ピタゴラ装置』が好きでね。あ、『フレーミー』だ」
「はあ」
「♪ぴたーごら、すいっち」
「……あ、じゃあ、お邪魔しました」

 呆れられました。

 そんなわけで現在、姉の威厳は危機的状況にあります。
 深夜番組とは本当に恐ろしいものですね。

 ちなみに今夜は「ピタゴラスイッチ セレクション」が放映されるそうです。
 ああ、楽しみ。
posted by にくす at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月14日

ハードゲイの解説

 母がテレビを見ながら聞いてきました。
「ハードゲイって何?」
 とりあえず直訳しました。
「凄く陽気な人」
「じゃあ、ゲイって何なの?男の人を好きな男の人?『ホモ』とは違うの?」

 どうやら母は朧げにしか単語の意味を理解していない様子です。
 ちゃんと説明しようと思いました。
「同性愛者全般を指す言葉としてホモセクシュアル、ホモというのがあるけれど、これは差別的な意味で使われることが多いの。だから最近は『陽気な』とか『派手な』という意味もある『ゲイ』という言葉に言い換えることが多くなっていて」
「もっと噛み砕いて。つまりゲイって何なの?」
「同性愛者」
「つまり男の人を好きな男の人?」
「一般的には男性同性愛者を指す言葉だけれど、言葉の意味としては」
「だからもっと噛み砕いて」
「まあ、男の人を好きな男の人のこと、かな……」
「じゃあハードゲイって何?すごく男の人を好きな男の人?」
「ええと、明確な定義はよくわからないけれど、ある程度ファッションの傾向によって区分できるような気がするね。男性同性愛者の中でもいかにもそれらしい、レザーを着てマッチョさをアピールするような人種を指して使うような感じかしら」
「つまりすごくゲイな人のことなのね?」
「……そうね、すごくゲイな人のことね」
「つまりすごく男の人を好きな男の人のことなのね?」
「……そうね」
「よくわかったわ」
 
 多分私は間違った説明はしていないはずと思うのですが。
 そして母はそれをきちんと聞いてくれたと思うのですが。

 なんだかちっともハードゲイをわかってもらえた気がしませんでした。
posted by にくす at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月13日

カーテンの使い道

 父が私にカーテンを買ってきてくれました。
「ありがとう。でもどうして?」
「この部屋、明かりを点けると外から中が見えてしまうからなあ」
 カーテンを広げて
「じゃあこれを被って、外の人を驚かせますね」

 冗談のつもりでこう言ったら、なんだか本気で止められました。
 私ならやりかねない、と思われた模様です。

 さすがに家族は私のことをよく理解しているなあ、と思いました。
posted by にくす at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月04日

夏ばての生み出す危機

 身体が重く感じました。
 引き篭もり生活で体重が増えたのかしらと考え、計量してみました。
 41キロでした。
 ちなみに平常時は45〜48キロくらいを変動し続ける状態なので、この体重はいかにも不健康な数値。以前「30キロ台まで落ちるようなら自宅での点滴療法も考える」と家族に警告されたことも考えますと、事態はなかなかに逼迫しています。

 ああ、身体が重く感じたのは体重が増えたせいではなくて体力が落ちていたせいであったか。などと納得している場合ではありません。
 どうしてこんなことになったものか、考えてみました。食生活でしょうか。しかし一日一食の食事はきちんと摂っているし、

 原因が判明しました。

 早急に規則正しい生活を送り食事量を増やすべく厨房に赴くと、そこには妹が。なにやらサプリメントを口にしています。
「あら、栄養剤?そっちも夏ばて?」
「ううん、ダイエット用のサプリ」

 姉妹の間に若干の溝を感じました。

「ダイエットって……そんなに太ってないじゃない」
「そりゃあ、お姉ちゃんは細いからいいだろうけど。私は結構やばいんだって」
「いや、私は夏ばてで逆に体重増やさないと危ない状態だよ?」
 言って体重を告げますと、妹は愕然としたように。
「……私より10キロも少ないじゃないかあ!」

 姉妹の溝は深まる一方です。

 妹の名誉の為に申し添えますと、彼女は私より身長が5センチ高く、姉の欲目かもしれませんがスタイルは非常によろしい部類に入ると思います。
 すこやかなからだと社交的かつ行動的な性格を併せ持つ妹は、私にとってある種憧れの存在ですらあるのです。
 だけれど目の前の人との体重差が二桁に達してしまったというのはそれなりに衝撃的な事実で。羨まれたり心配されたり心配されたり。

「とりあえずあれだ。お姉ちゃんはもう少し太りなさい」
「そうね、全力を尽くしてみるわ」
「偏食して前みたいに、金平糖ばっかり食べたりしてたら駄目なんだからね」
「うん、大丈夫。最近は羊羹とかも食べてるよ」
「……だーかーらー!」

 叱られました。

 とりあえず互いの体重差を5キロ程度に抑えようと努力目標を掲げることで合意。
 今後は甘いもの以外も食べるとか、料理の献立を工夫するとかの取り組みに乗り出していく所存です。
posted by にくす at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月03日

曾祖父の話

 思い出番外編。

 まだ幼稚園に上がる前の頃、両親に連れられて本家を訪れました。
 何かの行事が行われているようで、大人たちは忙しそうで。
 所在無い気持ちで邪魔にならぬようにと邸の中をうろうろしているうちに、人気の無い部屋に入り込みました。

 そこで曾祖父に会ったのです。

 薄暗い部屋の中で見たその姿はひどく痩せていて、肌は紙のように白く。
 そこに人がいたという驚きで咄嗟に挨拶もできず、呆然と立ち尽くしていると、その老人は私に名を問いました。
 怖々名乗ると、老人は得たりというように頷き。
「ああ、この家を継ぐ子だな」
 よくわからなかったのでよくわからないという顔をしていると、老人は笑ったように顔を歪めて。
「いつかはここに帰ってくることになる。そのときはきちんとこの家を守りなさい」
「はい」
 返事をすると、両親が心配しているだろうからもう行きなさいと言われ、私はその部屋を出ました。

 襖を閉めると親戚に出くわし、何をしていたのかと問われました。
 迷子になったとのみ説明し、ついでに
「こんなおじいちゃんがいたのだけれど、あれはいったいだれですか」
 と聞いたところ、その親戚は
「それはあなたのひいおじいさまだね。さあ、また迷うといけないからこっちにいらっしゃい」
 と手を引かれました。

 曾祖父と話したのは後にも先にもその一回きりです。
 その後、曾祖父は亡くなり、本家の邸は取り壊され、家に連なる人間もその年齢が上がるにつれて散り散りとなり。
 まあ色々とありました。

 年齢を重ねるうちに、父が本家を継いだということ、その娘である私がいずれはこの家を継ぐのだということを朧に理解しました。
 曾祖父の言葉通り、いつかはあの地に戻ること。
 今はもう随分解体されてしまった「家」ではあるけれど、とにかくあの地で、残された唯一のもの、この「名前」を守って生きること。
 漠然と、それが私のあるべき生き方なのだろうなあと思いながら成長しました。

 ところが。
 最近、家族と話していて
「一度だけ曾お祖父様と話したときに」
 と言うと、それはおかしいと返されました。
「あなたは曾お祖父様と会ったことはないはずよ」
「え?」
「曾お祖父様の生前、私たちは本家から離れた場所に住んでいて、訪れることも殆ど無かったから」
「だけれど、随分小さな頃に本家を訪ねた覚えが」
 そのときの話を覚えている限りに話すと、家族は少し首を傾げて。
「……それは、曾お祖父様の法事の時じゃないかしら」
「法事?でも、私には曾お祖父様の顔を見た覚えが」
「ううん、お葬式にも出席できなかったのよ。だからあなたは曾お祖父様の顔を見たこともないはず。どこかで思い違いをしているんじゃないかしら」

 二十年以上前の記憶です。
 しかも当時の私は随分幼かったのですから、そこに幾許かの誤謬が認められるのはむしろ自然な事なのかもしれません。
 だけれど私は覚えているのです。
 あの日着ていたワンピースが、手触りのいいびろうどだったこと。
 従兄弟がぜんまいで動くバスの玩具で遊んでいたこと。
 昔のあの邸のお風呂は檜で出来ていて、その香りが好きだったこと。

 それで曾祖父の記憶だけが「思い違い」だというのは、なんだかおかしいように思えるのです。

 一体あの日、私は誰と話したのでしょう。
「いつかはここに帰ってくる」
 そう告げたのは、誰だったのでしょう。
「この家を守りなさい」
 そう命じたのは、誰だったのでしょう。

 問おうにも曾祖父は既に鬼籍に名を連ねており、家の人間は散り散り、邸は疾うに取り壊されたあと。
 確かめる術は、ありません。
posted by にくす at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月25日

父の回答

 19日は父の日でした。過ぎましたが父の話を。

 私にとって、異なる専門分野を持つ父の知識には学ぶべきところが多く。
 最近気になったことがありましたので、質問をしてみました。

 父の回答。
「副鼻腔炎か。要するに粘膜部が炎症を起こした状態だけれど、鼻自体というよりその周りの副鼻腔、すなわち上顎洞とかこのあたりに起きる炎症で、目眩や頭痛、耳鳴りなども引き起こす。外部から視認できる症状は鼻詰まりくらいかなあ」

 何の話だかわかりません。

 ちなみに私の質問は以下のようなものでした。
「江浦草(つくも)ってどんな花?」

 父の耳にはこう聞こえたようです。
「蓄膿ってどんな鼻?」

 医療従事者は大胆な聞き間違いをするということがわかりました。
posted by にくす at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月04日

注射器の針

 父に注射器の横流しを頼みました。

「注射器を戴けませんか。使用期限の切れたものでいいので」
「容量は?」
「ええと、5ml程度。なければ大きさが多少上下しても構いません」

 幸い手元に余りがあったとみえ、快く一本の注射器を譲ってくれました。
 手渡す前に
「金属針は危ないから、プラスチックカニューレを付けておこう」
 と、先端にプラスチック製の柔らかい針を付けて貰いました。

 刺繍を趣味とする私にとって「金属針は危ない」という言葉は些か意外なものでした。
 キャップを付ければ不用意に針を刺してしまうような事故は充分に防げるはず。
 それとも私はそれほど不器用な娘だと思われているのでしょうか。

「危ないですかね?」
「まあ、手元に置いて使うならより安全性の高いものを選んだほうが」
「確かにそれはそうですが……心配しすぎでは?私はそんなに不器用ではありませんよ?」
「そうかなあ」
「ええ、そうですとも」
 勢い込んでうっかり口が滑りました。

「さすがにこの歳になって静脈と動脈を間違えたりはしませんって」

 冗談のつもりだったのですが、その不用意な一言で父の心配には拍車がかかったらしく。
 素人が軽々に穿刺を行うことの危険性を懇々と説かれました。
「僕は不器用云々よりも、むしろその性格が心配だ」
 ごもっともです。
 素人の医療行為はダメ!ゼッタイ!

 戴いた注射器は化粧水の詰め替えに使いました。
 もちろんそれ以外の目的など何一つありませんよ。
posted by にくす at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月07日

母がヒロシのファンなわけ

 新年特番で、連日お笑い番組が放映されている今日この頃。
 家族でテレビを見ていて、母が「ヒロシ」という芸人さんのファンであることを知りました。

「きゃあ、ヒロシが出てる」
「この芸人さんが好きなんですね」
「うん、大好き」

 大変お気に入りのようなので、一体何がそんなに気に入っているのか知りたくなりました。
「どこがそんなにお気に入りなんですか?」
「悲劇的で面白いし、そうそうそれにね、この人いつもBGMに『ガラスの部屋』を流すのよ」
「『ガラスの部屋』?」
「1969年に上映された映画のサウンドトラック。この映画大好きだったの!ストーリーはいまひとつだったけど主演のレイモンド=ラヴロックがとっても素敵でね、何回も見に行ったわ。映画はあんまりヒットしなくて、今ではビデオを探してもなかなか見当たらないの。DVDとか出てないのかしら?そんなわけでこの人のネタを見ると、なんだか懐かしい気持ちになるのよ」
「そうですか」

 筋金入りのミーハーって凄いなと思いました。
posted by にくす at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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